【所長コラム】/鏡森定信

ストレスチェック導入と産業医辞退

当センターでは、ストレスチェックをお願いしたら産業医を辞退されたとの事業所からの相談がかなりみられる。その背景には新たな仕事の開始に必要な事前の周到な準備の欠如があるように思われる。過重労働(ストレス)対策にその源流を置く職域のストレスチェックでは、過重な労働条件となるストレス要因のチェックがその主目的である。それがメンタルヘルス(心理精神的異常)チェックと混同されてしまった。当センターとしても強く反省をしている。「精神科のことはよく分からない!」が、辞退する産業医から、また産業医のいる事業所(うちの先生は精神科医でない)からの声である。

もっとも十分な打ち合わせもなく急遽これをお願いされる産業医もたまったものではない。今回の制度導入に関して、「仕事量に見合う報酬になっていない」、「報酬も事業所からのものでは面接指導の公正さが担保されない」などの意見も出ている。国際的に労働衛生をリードしているヨーロッパでは、国民保健サービス(医療国営)の英国を除く主要国は、労使官の3者の構成による公的産業保健機関を設立し運営している。また、産業医の研修資格制度も確立されている。産業保健専門職の資格と報酬についてさらなる制度の整備が必要なことは、国も認識しこれらについて検討会が動いている。

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