【所長コラム】/鏡森定信

パイロットや客室乗務員のメラノーマ発生率は一般の約2倍

照り付ける太陽、熱中症予防真っ盛りの時期である。暑熱の源ではないが、天空からの紫外線や宇宙線の産業保健の立場から見た影響も無視できない。紫外線は国際がん研究機関では2A(人の発がんに関係している可能性大。)に分類されている。一般人より紫外線のみならず宇宙線にも曝されることの多い航空業での健康影響についてはどうなっているのであろうか?

航空業でのメラノーマに関するこれまでの研究を全体的に分析したメタアナリーシス(Sanlorenzo M, 他. JAMA Dermatol. 2014 Sep 3. [Epub ahead of print])によれば、パイロットや客室乗務員のメラノーマ発生率は一般集団の約2倍約であるという(パイロットのみで統計的有意差あり)。また死亡率では、パイロットで2倍弱(統計的有意差なし)、客室乗務員では一般集団と差がなかったことも示されている。信頼度の高い19件の研究、被験者総数26万6,431例のデータを解析したものである。

宇宙旅行が現実味を帯びてきている。盛夏の天空を仰ぎ、産業保健の宇宙への展開に思いをはせ涼感を得るのも一興。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です