【所長コラム】鏡森定信

アルマ・アタから40年後のアスタナ宣言と産業保健

 アルマ・アタ宣言、開催地の旧ソ連邦のカザフスタンの首都の名のついた、プライマリ・ヘルスケア(PHC)による「健康づくり」の方向性をうたった国際的な宣言(1978年)から40年が経過した。昨年の10月に今は共和国でその首都であるアスタナで、先の宣言のPHCを時代の流れに合わせて強化し変革していくために、UHC(ユニバーサルヘルス・カバレイジ;誰でもどこでもヘルスケアを受けることができる)とSDGs(持続可能な開発目標)が提唱された。前者のUHCについては、日本は国際的に誇れる国民皆保険のもとで経済的なバリアの低い医療へのアクセスが確保されている。しかしながらガンの増加で就労と治療の両立の困難から仕事を諦めざるを得ない事態も多発するようになってきており、UHCの障壁となっている。後者のSDGsでは17の目標の一つに「すべての人のための持続的、包括的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用及びデイセント・ワーク(働き甲斐のある人間らしい仕事)を推進する」があげられている。この達成には改善しなければならない点が多々ある。
 次年度の年間労働安全衛生計画書の作成の準備がそろそろ始動する。PPHCも踏まえた各事業所の計画づくりに産業保健関係者の参画も大いに期待したい。

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