【所長コラム】鏡森定信

職場の掲示板の効用 -支援醸生の視点からー

 ストレスチェックでは、職場での上司や同僚からの支援の程度が質問に入っている。私たちが、県内で行ったホワイトカラーの調査でも、この種の支援の程度が上がるほど7日以上の病休が減少することが示された。過重労働的状況にある職場においては、この弊害への緩衝として支援の果たす役割の大きいことが内外で多数報告されている。
 かつて米国の自動車産業の一行が、日本工場の高い生産性の理由を探るべく来日し入念に工場見学をしたことがあった。その際、欠勤者がでた場合、当該部署の仲間がどうしたのだろうと気遣い、自分たちで出来る対処をする職場環境に脱帽したとの逸話がある。マネージメント理論で「理」的、他動的に管理を推進していた彼らにとって、「情」的で自動的な職場環境に大変驚いたのであろう。
 最近、ある販売業の支店で、各スタッフの行動掲示板に遅刻や欠勤・休暇の場合、その大まかな理由も含めて記入するようにしたところ、スタッフ同士の雰囲気が大変よくなったと聞いた。
 ストレスチェックでは、一人一人の対応もさることながら、職場環境の改善につながることが望まれている。たとえ小さくとも「品質改善」を積み上げてきた日本の職場の現場力(参加型職場改善)の発揮をこの方面でも期待したい。

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