【所長のコラム】/鏡森定信

ラジオ深夜便の効用

 何年か前から私は、NHKのラジオ深夜便を愛聴している。毎晩23時過ぎに始まり翌朝5時までで、音楽や受信者便りを適宜挟みながら時間帯ごとにほぼ内容は決まっている。NHKのベテラン司会者などが、一日のニュースから始まるこの長丁場を、一人でリラックスした雰囲気で務める。こちらは寝入っていることが多いが、就学・就労者も結構聴いていることが常連の多い受信者便りでわかる。
 耳旅行を楽しめる内外各地の住民レポータの現地報告、その道の達人などの理解が深まる数十分に及ぶインタビュー、テーマが毎回異なり新旧いろいろなジャンヌを楽しめる各1時間の世界と日本の音楽などは、毎日定番で、川柳、落語・講談などの文化芸能も特定の曜日に組み込まれている。明け方には、その日の花カレンダーの紹介、各地の日の出・日の入り時刻と天気予報でやがて始まるその日に備える。
 再放送であったが、ご主人との死別後一念発起して63歳から農地を買い花を植え始め、30年かけて観光スポット紫竹ガーデンを育て上げた紫竹照葉さんのインタビュウーに感動した。それとは知らずに訪れたことのあるあの広大なガーデンの花の色香を懐かしく再想した。
 聴覚刺激は左脳の記憶・思考系を豊かにするだけでなく、右脳への好作用もあるというし、かつて見聞した事や音楽との会遇で、人生の振り返りが深まる。この番組には、冊子や聞き直しサービスがあるのもいい。

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