【所長のコラム】/鏡森定信

傾聴と共感の共感的保健指導の有効性 ―その具体なチェック項目―

 健診で2型糖尿病と診断された患者を無作為に49の診療所に割り振り標準的治療を実施した。健診後1年以内に受けた保健指導がどの程度共感的であったかを評価、スコア化し、そのスコアとその後の平均10年の生命予後を比較した。プライマリーケアの英国ならではの実践的研究に感銘を受けた。この共感的保健指導のスコア化は、具体的には以下の10項目を患者に尋ね50点満点で行った。そのスコアを、>46、46-38、<38の4群の分け生命予後を比較した。
 その項目は、(1)あなたに安心感を与える、 (2) あなたに自分の話をさせる、 (3) 真剣に話を聞いてくれる、 (4) あなたという人間全体に興味を持ってくれる、 (5) あなたの気がかりを分かってくれる、 (6) 思いやりがあり、実際に思いやりを示す、 (7) 前向きである、 (8) 説明が分かりやすい、 (9) あなたが自分で健康管理できるように助ける、 (10) あなたと一緒に行動計画を立てる、であり、そのスコアが高い群の順に生命予後がよかった。
 この結果は、2型糖尿病の寿命を縮める年齢、そしてヘモグロビンa1c、血圧、血清脂質の異常などの検査項目を調整しても、共感的指導のスコアが独立的に生命予後に作用していたことを示した。保健指導においても共感と傾聴の重要性が説かれる。そのことを現場で計画的になされた研究が再確認した。産業保健の現場でも改めて留意したい(Dambha-Miller ら( Ann Fam Med 2019.17.311-318.)。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加