【所長コラム】鏡森定信

“健康になりたければ家の掃除を変えなさい”

 これは、 “健康を守るお掃除士と称される松本忠男さんが、扶桑社から3年前に出した本である。ダスキンヘルスケアや亀田総合病院グループ会社などで職歴30年余の清掃管理者である。

新型コロナウイルス感染でも、ドアの取っ手やパソコンのキーボードの消毒が奨められている。 屋内に持ち込まれたウイルスは、気流に乗って室内を漂い、先ず壁に多く付着する。 残りはテーブルや椅子などの家具にそして最後には床に落下する。靴底に付着して玄関の床に付着するのもあろう。松本さんは、

① 壁は「化繊ハタキ」を使い、風が起きないよう静かに一方向に拭く。戻るとウイルスが散る。

② テーブルや床は乾いた布巾で一方向に拭き上げる。先に水拭きするとウイルスが拡散する。

③ ウイルスが留まる個所を減らすために、片づける。

をあげている。洗面所やトイレなどについても図説している。

14世紀、人口の20%余りの命を奪ったペスト流行では、悪霊が入り込まないよう密閉して家に閉じこもるしかなかったが、20世紀初頭の英国領香港では、患者隔離と住宅の消毒で流行を乗り切った。国外でペストは今でも小流行を繰り返している。産業衛生においても環境衛生の重要性を認識させる今回の大危機である。

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