【所長のコラム】/鏡森定信

テレワーク時代のメンタルエルス1次予防としての身体活動

 今回のコロナ禍は職域でも身体活動減少をもたらした。産業医学振興財団発行の「産業医学ジャーナル、2022年9月号」の連載“職域で新型コロナウイルスに向き合う㉖―渡辺和弘”によれば、自粛・ロックダウンに伴う身体活動時間に関するオンライン国際調査では、35機関において33.5%減少(Ammar Aら、2020年)、また自粛・ロックダウンが実施された74万人の地域のウエアラブルデバイス歩行数調査では25~54%(Pepin JLら)の減少(2020年)があったという。
 一般的にメンタルの健康維持増進に身体活動が有効とされているが、ここでは、職域の主要な精神障害の1次予防にも身体活動が有効であることを、Joyce S(2016年)の関連論文のメタ解析を例示して紹介されている。職域での身体活動の促進は、長時間座位作業からくる心臓血管系障害の予防に有効なことから、職域に運動機器の設置やエクササイズタイムの導入が進んでいる。しかしながら、自粛・ロックダウンのみならずテレワークの増加による身体活動の低下には、職域外でのその促進が課題となる。
 この連載では、個人並びに集団の情報提供・介入そして管理、費用対効果の点から情報通信機器(ICT)によるウエアラブルヘルスとしてスマホの活用を奨めている。実際にスマホ等からの身体活動、睡眠、位置情報、社交性などのデジタルデータを用いて個人の抑うつを予測する試みが有効であったことが紹介されている。多種多様な関連機器が比較的廉価で普及している。COVID-19を機に産業保健活動の新しい展開の一つとして推奨したい。

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