【所長のコラム】/鏡森定信

パラ(傍)ハラスメントは職場の意気を下げる。―ハラスメント防止の義務化にあたってー

 この4月から、中小企業においてもハラスメント防止措置が義務化され、予防から対処までの対策が必須となった。いろいろなハラスメントで多くの事業所が頭を抱えているが、ハラスメントは当事者には勿論だが、それに直接関係の無い職場の人たちにまでマイナスの作用をもたらす「パラ(傍)ハラスメント」の視点も職場の健康を守るために大事である。
 パラ(傍)ハラスメントの状況に至れば、同じ職場の人たちは当然ハラスメントに気づいている。そうでありながらハラスメントへの対処が適切になされずそれが長引くとその影響は一層大きくなり、直接関係の無い人たちにも様々な不健康をもたらし、職場の生産性の低下につながりかねない。パラ(傍)ハラスメントは、管理職では職場の安全配慮義務に関わるものであり、職場全体としては環境改善の課題ということになる。
 いずれにしても、職場がどんな状況にあるかの把握が必要になる。定期のストレスチェックは有用ではあるが、やや隔靴掻痒の感がある。中災防の「職場環境改善のためのヒント集」による調査も一つの対応である。職場のみんなが何に手を着けるべきと思っているかを知ることができ、パラ(傍)ハラスメント対応の導入にもなる。時宜にかなった活用を関係者に強く薦めたい。

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