【所長のコラム】/鏡森定信

産業保健における社会的対話のオンライン化

 コロナ禍での休職、離職、解雇への経済的救済施策は当分間断なく継続が必要な状況である。この間、青壮年層、特に女性の自殺が増えていると報告されており、心理社会的面からの施策の重要性が再認識されている。
 職業性ストレスに関する枠組み協定(Psychosocial Risk Management-European Framework.2004)では、職業性ストレスを、身体的、精神的、社会的な不満あるいは機能障害を伴い、個々人が自らに課された要求や期待とのギャップを埋めることができないと感じたことで引き起こされる”と定めている。当然のことながら、このストレスは個人的対応のみで済まされるものではない。これへの対応には、“社会的対話”(雇用者と従業員の代表、あるいは第3者を加え産業政策に具体に影響を及ぼすことを目的に欧州で提唱された)が必要になってくる。事業所内であれば、産業医をはじめとする産業保健スタッフの関与が必須である。
 今回のコロナ禍が契機となったのであろう。情報通信機を利用した衛生委員会などの開催の促進に関する通達が出ており、①委員会審議での利用、②職場での周知、③映像、音声の送受信の安定性、④セキュリテイの確保などが奨められている。オンライン化が産業保健活動の活性化につながることを願う。

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