【所長のコラム】/鏡森定信

マッサージ師を雇用する企業 ―社会貢献そして健康な企業―

 先日、私は産業看護研究会に出席した。産業現場での保健活動に加えて、2つの企業の経営陣からの産業保健の報告もあり、内容に富んだ素晴らしい20周年記念の集まりであった。後日A社の報告がらみでその社のベテラン保健師に訊いたところ、A社では、災害時に周辺の地域の人たちへの支援にもなるよう備蓄品をストックしており避難場所の提供も意図されているという。これを聞き思うところがあった。
 新刊の、「もっと人を大切にする会社」に、食べ物を手作業で大量に作っている会社が、作業の合間に職員の体を揉みほぐすために10人余りの地域の視覚障害のマッサージ師を正社員として雇用しているのが紹介されていた。先のA社の保健師によれば、その本社(自動車産業)でも健康管理にマッサージ師を雇用しているという。私は配食サービスがまだ一般的ではなかった相当以前に、医療的に在宅で食事支援が必要とされた高齢者や病気の人に、ランチを配食ボランテイアと同行して、社員が車で届ける企業の活動に同行したことがある。これらは、企業が地域の障害者を支援する社会貢献であり、近年、唱導されている産業保健と地域保健活動の協働ともいえよう。
 健康経営では、自社職員の健康増進を目指すが、加えて地域と協働し、地域に大切にされることも健康的な企業の大切な要素であろう。周辺に困っている人達や地域があったら、自社の特徴を生かして何かできないだろうか?こんな社会貢献チェックも定期的になされる健康的な企業経営であってほしい。

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