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産業保健Q&A(回答)

Q:最近,ノルマルヘプタンが関与していると思われる事故が発生しましたが,ノルマルヘプタンとはどのようなものですか.
【回答者】富山産業保健推進センター所長 加須屋 實
回答
炭化水素系の有機溶剤で,動植物の油脂抽出剤,ゴム,顔料の溶剤,洗浄剤などに利用されます.
・ ノルマルヘプタン(ヘプタン),n-heptane: CH3(CH2)5CH3 .CAS No.142-82-5.
・ 無色の液体で水に不溶です.蒸気密度は3.5,引火点-4℃,発火点204℃.すなわち空気より重く,遠くへ流れて溜まる可能性があり,火の気があればかなり低い気温でも引火する可能性があります.
・ 引火・爆発の危険性が大きいということで,消防法では「危険物第4類第1石油類非水溶性液体」として指定されています.消火は泡,二酸化炭素,粉末,乾燥砂を用います.注水は,火面を拡大するので使ってはいけませんが,周辺の延焼防止か冷却用とします.
・ 毒性は,高濃度で麻酔作用があり,頭痛,めまい,悪心などを起こします.結膜炎,皮膚炎をもたらすこともあります.
・ 有機溶剤中毒予防規則には入っていません.日本産業衛生学会勧告の許容濃度は200ppmです.

(「化学物質の危険・有害便覧」中央労働災害防止協会編,平成3年,などより)


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