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産業保健Q&A(回答)

Q:メタボリック症候群(シンドローム)はどういうものでしょうか。
【回答者】富山産業保健推進センター相談員 稲寺 秀邦
回答
最近様々なところでメタボリック症候群という言葉が聞かれます。メタボリックとはメタボリズム:代謝に由来し、症候群とは症候が集まり複数あるという意味です。すなわち1人に代謝の異常が複数重なった病態です。

代謝の異常とは、1. 脂質代謝の異常として中性脂肪150mg/dl以上かつ/または HDL-コレステロール40mg/dl未満 2. 糖代謝の異常として空腹時血糖110mg/dl以上、3. 血圧の異常として収縮期血圧130mmHg以上かつ/または拡張期血圧85mmHg以上 が基準です。3つ(脂質、糖、血圧)のうち2つ以上該当する場合、診断基準を満たします。ここで血圧が代謝の異常としてとらえられていることに注意して下さい。ひとつひとつのリスクは軽微でも、複数のリスクが1人に重積しますと、動脈硬化のリスクが飛躍的に高まることが明らかにされ、生じてきた概念です。

これらの代謝異常の前提として、内臓脂肪の蓄積を反映するウエスト周囲径が、男性85cm以上、女性90cm以上という基準があります。ウエスト周囲径が診断の前提になっているのは、代謝異常をおこす原因として、内臓脂肪の蓄積が基盤にあるという医学的根拠があります。

メタボリック症候群は1300万人、その予備軍は1400万人と頻度が高いことが報告されました。治療法として、ウエスト径を減らすための食事療法、運動療法が主体です。ウエスト径が減りますと、代謝の異常も比較的すみやかに改善していきます。


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