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産業保健Q&A(回答)

Q:アーク溶接とガス溶接の違いはどのようなものですか。
【回答者】富山産業保健推進センター所長 加須屋 實
回答
A:アーク溶接は、電極と母材との間に発生したアーク熱を利用します。
ガス溶接は、可燃性ガスの燃焼による熱を利用したものです。

アーク溶接
 アーク溶接中に空気が巻き込まれると、溶滴が酸化・窒化されて脆くなるので、空気と遮断、すなわちシールドする必要がある。アーク中の温度は、中心温度は摂氏5,000度〜6,000度だが、太陽の表面温度に近い10,000度近くになるともいう。
 被覆アーク溶接とガスシールド溶接がある。

1.被覆アーク溶接
 被覆アーク溶接棒と母材をそれぞれ電極とする。溶接棒に塗られた被覆材(フラックス・鉱物の粉末)が燃えてガスを発生し、シールドする。手溶接ともいわれる。

2.MAG(Metal Active Gas)溶接 (炭素ガスアーク溶接)
 シールドに活性ガスを使う。ガスには炭酸ガスが混合ガス’アルゴン80%+炭酸ガス20%)を用いる。安くて深い溶込みが得られるので広く使われている。また、混合ガスでは表面のスラグの量が少ないためロボット溶接に使われる。

3.MIG(Metal Inert Gas)溶接
 シールドとして不活性ガスを使う。ガスには不活性ガスのアルゴンやヘリウムが使用される。MAGと同じく、溶接棒はワイヤ状になっており、溶接トーチから供給される。

4.TIG(Tngsten Inert Gas)溶接
熱に強いタングステン電極を使い、シールドガスとして不活性ガスを使う。不活性ガスとしてアルゴンを用いる事が多いので、アルゴン溶接ともよばれる。タングステンは溶けず、溶接棒を使う。ステンレス綱などの溶接が出来る。


ガス溶接
アセチレンなどの可燃性ガスと酸素によって発生する炎の熱を利用した溶接。酸素とアセチレンガスの燃焼によって、摂氏3,000度〜3,500度の熱が得られる。鉄の融点は摂氏1,538度であり、溶接には十分な温度である。溶接棒を使う。酸素ボンベとアセチレンガスボンベ、溶接トーチなどがあれば、どこでも溶接(と溶断)できるので扱いやすい。


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