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産業保健Q&A(回答)

Q:立ち作業の留意点について教えて下さい。
【回答者】富山産業保健推進センター所長 加須屋 實
回答
製造ラインに立ち作業が導入されたところ、つらいといって辞めて行く人が多発、残った人も足腰が痛いと訴えるということです。立ち作業にすると、作業効率が数十パーセント上がるということで導入されたのだと思います。

 組立作業やサービス業などでの立ち作業は、ほとんど移動せず拘束性の強い静的姿勢となるため腰部を中心として過度の負担がかかります。発生しうる障害には次のようなものがあります。
1.腰痛(参照:「職場における腰痛予防対策指針」基発547号)。
2.膝痛・下肢の疲労。
3.頚肩腕障害:一般に作業台の高さは決まっている。座っての作業では作業姿勢をイスの高さで調節できることが多いが、立ち作業となると身長が皆異なるので、無理な姿勢・前屈・過伸展となりがちで上腕、肩、首、背中に負担がかかる。

 対策は次のようになります。
1.作業台との高さの調整:踏み台などを工夫する。
2.腰掛け作業との組合せ。
3.イスの配置:作業の途中で休憩できるようにする。高さ、角度をかえることのできるイスが望ましい。
4.足台の配置:作業中、左右の足を交互に乗せることのできる台を置く。
5.床面の安定:床が傾いていたり、段差があったり、みぞ・穴があったりなど不安定だと悪影響が増強される。
6.靴の選択:会社で決められた靴では疲れるということがあるので、本人が楽だと感じる靴を選ぶ事ができるようにする。
7.腰部保護ベルト、腹帯の装着:必要に応じて検討する。
8.職場体操の実施。
9.小休止・休息:おおむね1時間につき1,2回の休息をとるべきである。その間下肢の屈伸運動を勧めるのもよい。
10.配置転換:同一作業を避けるため、事業場内で立ち作業を含む他の作業と定期的に配置換えを行うことも選択肢となる。

 なお、安衛則第615条に「持続的立業に従事する労働者が就業中しばしばすわることのできる機会のあるときは、いすを備えなければならない」とあり、事務所則22条にも同様の記述があります。


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