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産業保健Q&A(回答)

Q:血中鉛の生物学的半減期はどのようなものでしょうか
【回答者】富山産業保健推進センター所長 加須屋 實
回答
血中鉛濃度が20.1 μg/dlとなり配置転換になったが、3ヶ月後の検査で7.8μgに下降していた。鉛の半減期は長いと思っていたのだが、本当にこのようなことがあるのだろうか、というご質問です。

 正常者の血中鉛は5〜20 μg/dl とされており(「産業医実践ガイド」和田攻編、文光堂、1998),40 μg/dl 以上(環境中鉛濃度が50 μg/m3 以上で起こり得る)の血中鉛量で危険なばく露と考えられています。ちなみに、労働基準局監督署長に提出する鉛健康診断結果報告書の分布区分は、血中鉛の場合、分布1は20 μg/dl以下、分布2は20〜40、分布3は40超、となっています。分布2に入ったので配置転換となったのだと思われます。

 鉛の90%以上は骨に蓄積していますが、骨での生物学的半減期は10年程度と長いのです。鉛作業で急速に上昇した血中鉛の半減期は,多くは数週〜数ヶ月であり,お尋ねのようなことは充分起こり得ます。血液を中心とするコンパートメントと、骨コンパートメントの生物学的半減期はそれぞれ18.7日と 21年とする報告もあります(「産業中毒便覧」後藤、池田、原編、医歯薬出版、1994)。


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