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産業保健Q&A(回答)

Q:ドライクリーニング会社の産業医を勤めることになりましたが、どのような化学物質が問題になりますか。
【回答者】富山産業保健推進センター所長 加須屋 實
回答
ドライクリーニングとは、油に溶ける汚れを有機溶剤で除く洗濯法です。水を使わないのでドライといいます。従って問題となる化学物質は有機溶剤が主なものです。

1.塩素系溶剤:難燃性で溶解力が強いが、毒性も大きい。洗濯機は密閉型の全自動です。熱風を吹き付けて乾燥します。テトラクロルエチレン(パークロルエチレン)、トリクロルエチレンなどです。どちらも発がん物質の第2類Bとされており、これらによる地下水汚染が大きな問題となりました。

2. 石油系溶剤:安価で毒性は小さいが引火性がある。衣類に残留すると皮膚障害(化学やけど)がもたらされる場合があります。ドライチェッカーで残留溶剤のテストが勧められています(「石油系溶剤を用いたドライクリーニングにおける衣類への溶剤残留防止について」厚生省生活衛生局指導課長通知、平成3年7月1日、衛指第110号)。

3.フッ素系溶剤:高価な溶剤だが低温乾燥できるので衣類に対し安全。HCFC-225(フルオロカーボン225)、CFC-113(フルオロカーボン113)(モントリオール議定書により生産は1995年末までに全廃)など。毒性は低いがオゾン層破壊物質なので環境中への排出は厳しく規制されています。

4.シリコン系溶剤:皮膚毒性は低く、衣服に対する安全性も高いが、高価な溶剤。普及はこれからだと思われます。


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