【リレーコラム】⑦

レジリエンスとは

レジリエンスとは、過酷な環境やストレス、トラウマ体験といった逆境に直面した際に、そこから立ち直り、状況に適応していく「立て直す力」です。

悲嘆に暮れる日々があっても、自分を整え、生活を取り戻していく力は、先天的な資質に加え、後天的にも育むことができます。

レジリエンスを構成する要素には、以下のようなものがあります。
まず資質的な力として、「楽観性」「統御力(自己制御)」「行動力」「社交性」が挙げられます。また、後天的に育てられるものとして、「問題解決能力」「自己理解」「他者理解」があります。

これらの力が高い人は、新たな体験を前向きに捉えやすく、人生への肯定的な意味づけを持ちやすいため、適応力が高まります。実際に2014年のAyala&Manzanoによる研究では、起業家のレジリエンスの高さが5年後の成功を予測する可能性が示されました。これは、レジリエンスが幸福感や意欲に関わる「心のあり方」にも影響するためです。

レジリエンスを育てるには、他者からのフィードバックによる気づきや、人間関係の中での実践、内省による自己理解、そして知識・スキルを学ぶ機会が必要です。日常には多くの選択と決定がありますが、それを自分の幸福につなげるには、柔軟に自我を調整する力が求められます。

特に職場では、上司やリーダーのレジリエンスが重要です。自らを立て直す力を持つ上司は、部下や組織全体にも良い影響を及ぼし、職場のメンタルヘルスの土台を支える存在となるのです。

(Yogini K/小松紀美子(富山産業保健総合支援センター産業保健相談員)2025年10月)

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