【所長のコラム】/鏡森定信

父親の産後うつ予防も視野に入れた育休を!

 父親が産後に抑うつを感じたのは8.4%で、産後3~6か月の間が最も多く、13.0%の父親が抑うつを感じたとE. E. Cameronら(2016年)が関連論文を整理して報告している。母親では、産後1~2週間にマタニティブルーズがみられ、産後3か月以内におおよそ10%がうつ病を発症することが分かっている。なお、不安や抑うつは、妊娠中からおこることも多く、自殺の前駆症状でもあるので、妊娠中からのケアが必要となる。
コロナ禍に入ってから富山県では、女性の自殺の増加が全国で最悪と報告されている。日照時間が最短の県であり特に冬季はその極みで、季節性うつにつながる可能性がある。3月の年度末は、ほぼ毎年自殺数が最高になる。また、青壮年期のそれも増えている。
事業所では、これらを斟酌した周産期の健康管理が奨められる。産後2週間と1か月の無料健診では、エジンバラ産後うつ病質問票(気分の落ち込みや楽しみの喪失、自責感や自己評価の低下など10項目のアンケート)も使用されている。産後8週間の有給の育休が分割できるなど制度改善を踏まえた父母の育休取得が事業所で拡がることを期待する。

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