【所長コラム】鏡森定信

両立支援は早くから主治医二人制(産業看護職)を!

 県内の両立支援関係者の集まりで、あるがん診療拠点病院の医師から「産保センターにがんに詳しい医師を配置し、特に50人未満の事業所を支援したらどうか」、との意見が出されたという。

 医学会新聞(2017.9.18)に、がん患者に対しては、「がんを制御するための治療」と「生活の質をできるだけ高く保つための包括的な支援」の大きく2つの要素を分担する二人主治医制で治療の初期から対応することが肝要だと強調されていた。ここでは前者ががん診療専門医、後者が緩和ケア医であった。これを産業保健に当てはめると、生活の質は労働の質になり、主治医の一人は産業医ということになる。もし産業看護職が手当できれば二人主治医制はもっと厚みのあるものになるし、両立支援が安定期に入れば産業看護職の役割がもっと大きくなるであろう。再発予防などのステージに入れば、二人主治医制は産業医と産業看護職になり、両者の協働によるライフ・ワークバランス支援に至ればこれに勝るものはない。

 冒頭の拠点病院の医師の言う、「がんに詳しい医師」の意味するのは、仕事とがんの両立で研鑽を積んだ者と理解したい。がん診療専門医の「がんを制御するための治療」に対して、「労働の質をできるだけ高く保つ」ための産業医のがん治療の初期からの包括的な係わりが強く求められる。がんの時代である。がんが発見された場合にどうするか職場でのマネージメントが必要となっている。

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