【所長コラム】鏡森定信

学校医と産業医

 高岡地域産業保健センターの運営協議会で、学校における学校医と産業医の関りが話題になった。学校保健安全法では学童、生徒、学生のみならず教職員の安全と健康管理が規定されており、学校医や学校薬剤師なども委嘱されている。

 教員のメンタルヘルスの現状(平成24年3月4日、文部科学省)によれば、仕事や職業生活におけるストレスは、一般企業の労働者よりも6ポイント以上高い。また、ストレスの内訳では、「仕事の量」と「仕事の質」が、一般企業の労働者より高い。一般企業の労働者よりも疲れており、「とても疲れる」の割合は一般企業の14%に対して教員では45%で3倍以上である。精神疾患を理由とした離職教員は、病気を理由とした離職教員の約6割を占め年々増加し、在職者に占める割合は約0.6%。平成20年までの10年間の我が国の精神疾患患者数の伸びは1.58倍だが、その間の教員の精神疾患による休職者数の伸びは2.84倍であった。

 これらの調査結果は、いじめや自殺など子供たちのストレスの多い学校生活を支える教員のメンタルヘルス対策も喫緊の課題であることを示している。このような状況に鑑みて学校にはカウンセラーなどの専門家の配置が進んでいる。しかし、子供たちへの方向性が強く、教職員までには向かっていないように思われる。就労と生活の両立支援も含めて産業保健的な視点での取り組みが急がれる。

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